JCBの宣伝で高橋是清の言葉が引用されてました
2010年5月24日の日経新聞の32面に、JCBの広告で高橋是清の言葉が引用されていました。
非常にわかりやすく経済を説明しているなと感じたので、下に全文をメモしておきます。
1929年11月、高橋是清かく語りき。
例へば茲に、一年五万円の生活をする余力のある人が、倹約して三万円を以って生活し、あと二万円は之れを貯蓄する事とすれば、其の人の個人経済は、毎年それだけ蓄財が増えて行って誠に結構な事であるが、是れを国の経済の上から見る時は、其の倹約に依って、是れ迄其の人が消費して居った二万円だけは、どこかに物資の需要が減る訳であって、国家の生産力はそれだけ低下する事になる。(中略)
更に一層砕けて言ふならば、仮に或る人が待合へ行って、芸者を招(よ)んだり、贅沢な料理を食べたりして二千円を消費したとする。是れは風紀道徳の上から云へば、さうした使方をして貰ひ度くは無いけれども、仮に使ったとして、此の使はれた金はどういふ風に散らばって行くかといふのに、料理代となった部分は料理人等の給料の一部となり、又料理に使はれた魚類、肉類、野菜類、調味品等の代価及び其等の運搬費並に商人の稼ぎ料として支払はれる。此の部分は、即ちそれだけ、農業者、漁業者其の他の生産業者の懐を潤すものである。而(しか)して是等の代金を受取たる農業者、漁業者、商人等は、それを以て各自の衣食住其の他の費用に充てる。それから芸者代として支払われた金は、其の一部は芸者の手に渡って、食料、納税、衣服、化粧品、其の他の代償として支出せられる。(中略)然るに、此の人が待合で使ったとすれば、その金は転々して、農、工、商、漁業者等の手に移り、それが又諸般産業の上に、二十倍にも、三十倍にもなって働く。故に、個人経済から云へば、二千円の節約をする事は、其の人に取って、誠に結構であるが、国の経済から云へば、同一の金が二十倍にも三十倍にもなって働くのであるから、寧ろ其の方が望ましい訳である。(参考文献 高橋是清随想録:本の森/仙台)
買い物は世界を救う。
その時カードはJCB
要するに、お金を使えば、需要が生まれるので、国家的にみたらGDPが上がって、みんなハッピーになるということです。昔からわかっていたことなんですね。
さすが、昭和恐慌のさいに、インフレーション政策に切り替え、景気回復を成功させた大臣です。