ザ・ベストハウス123で紹介されてた坪倉優介氏の記憶喪失になったぼくが見た世界を読みました
記憶喪失の体験談を綴った貴重なノンフィクション作品でした。
人に記憶というのは、本当に不思議だなと思いました。
記憶を失うだけで、「単に忘れた」ではすまされない障害がいろいろあるのだなと。
でも、それだけではなく、失ったからこそ、手に入れられる新鮮な視点や純粋な思考法。
記憶を失った人から見た世界が、このように見えるのかと感心してしまいました。
冷たい風呂に入ったらダメなことがわからずブルブル入ったり、チョコレートの袋を取らずに食べようとしたり、まるで子供に戻ったかのような不思議な感覚です。エレベータが何かわからずに乗り込んでしまい、文房具のフロアから別のおもちゃのフロアに行ってしまい、ここがどこだかわからず苦労したというエピソードは、僕も小さなころ経験したなと思い出しました。
普通に生きていくのが難しいような気がするのですが、事故のあと早々に大学に復帰している点もスゴイの一言。
きっと社会復帰できたのは、お父さんとお母さんの坪倉氏に接する態度がよかったという点が大きかったのでしょう。父親は厳しく、母親は優しく受け入れるというエピソードが随所であります。
記憶喪失をどのように乗り切ったのか?
父親や母親はどのように接したのか?
このような点が特に参考になりました。
目次
第1章 ここはどこ?ぼくはだれ?―’89.6~’89.8
第2章 これから何がはじまるのだろう―’89.9~’90.3
第3章 むかしのぼくを探しにいこう―’90.4~’91.3
第4章 仲間はずれにならないために―’91.4~’92.3
第5章 あの事故のことはもう口に出さない―’92.4~’94.3
第6章 ぼくらはみんな生きている―’94.4~’01.5
○坪倉優介氏が師事した工房とご本人のブログ
・染工房「夢祐斎」
・坪倉 のブログ (ぼくらはみんな生きている) :坪倉優介