米欧回覧実記を現代に生かす(岩倉使節団の記録、口語訳が完成)- 歴史は繰り返す
13日の日経新聞朝刊より。普段はあまり読まない、36ページの文化のところから抜粋です。
明治のはじめに多くの政府要人が欧米各国を訪れた「岩倉使節団」の記録、『米欧回覧実記』が改めて注目を集めている。漢文調の言葉を平易な日本語にした現代語訳が完成し、開国直後の日本人が西洋をどうとらえたかを探る研究も活発だ。そこからは、時代の大きな転換期を生き抜く知恵を、近代日本の出発点に学ぼうとする姿勢が伝わってくる。
右大臣の岩倉具視を特命全権大使とし、明治新政府の立役者である大久保利通、木戸孝允、伊藤博文らが参加した総勢約五十人の使節団は一八七一年(明治四年)十二月、サンフランシスコに向けて横浜を出航。米、英、仏、独、露など十二カ国を一年九カ月かけて訪問した。使節団が見聞した都市生活、工場、交通などの実態を詳細に記録したのが『米欧回覧実記』だ。
インターネットの登場や、高齢化社会の急速な進展。確かに、今まさに、時代の大きな転換期を向けていますね。
歴史は繰り返すと言いますが、これはどの分野でもあてはまります。
冷静なまなざし
「訳を通じ、欧米近代の諸制度や産業をどう日本に移すかという切実な使命感が伝わってきた。もちろん、むやみに受容するのではなく長所、短所を冷静に分析する目が彼らにはあった」。訳者の水澤周氏は指摘する。例えば米・ワシントンの連邦議会議事堂を見学した際の記述。久米は議会制民主政治が米国の活力の基礎にあることを認めながらも、政府の専門家が主導して法案を起草すれば「行政官の勝手な意見が立法府の論議を暗に左右することがないとも言いがたい」と分析。「共和政治の不完全な部分」だと強調している。
どうしても、目先のことにとらわれてしまいがちですが、経営においては、今後起きるであろう出来事を何手先まで読めるか、対策をしているかが大切になります。
名経営者と呼ばれる人は、歴史に詳しい人が多いですが、それは歴史を繰り返すということを知っていたからかもしれません。
特命全権大使米欧回覧実記(5巻セット)―現代語訳 久米 邦武 慶應義塾大学出版会 2005-05 |